エゲツない孤独感、そしてこの上ない不安

父はもうモンスターに乗っ取られているようだ。

飲酒がやめられない。

暴言、せん妄が酷くなり入院が必要な状態であることは明白だ。

私は福祉事務所でケースワーカーを6年していたので、アルコール依存の方を治療に繋げるのがいかに困難か知っている。

なぜならアルコール依存は否認の病気だから。

自分が病気であることを認めないものだ。

ましてや、入院なんて途方のない道のりのように感じる。

いざ自分の家族が当事者となると、ここまで動揺することになるとは想像していなかった。

とはいえ、ケースワーカー時代には対人援助についてかなり勉強もしてきたし、NLPを学ぶなどしたおかげか、変わり果てた父を前にしても、ある程度しっかり関われていたと思う。

それでも、居宅生活は無理だと感じた。

私を含め、家族だけではこの地獄から抜け出せない。

心の底から助けてほしいと思った。

とりあえず保健所に電話をして、入院の実現に向けた支援など、プロの介入をお願いできないか確認した。

答えは「No」だった。
そういうことは保健所ではしておらず、アルコールの病院を紹介したり、断酒会を案内したりするしかできないとのことだ。

おそらく保健所勤務になって、数年の若い職員さんだった。

「懐かしい。俺も最初はこんな対応だったよな。」という思いと、「紋切り型の回答しやがって」という絶望感を同時に感じた。

保健所の名誉のために言うが、決して間違えた対応はしていない。
それでも、助けてもらえないと言う現実に打ちのめされた気持ちになった。

ケースーワーカー時代に、数人を医療保護入院させたことがあった。

今でもあの光景をはっきり覚えている。

できることなら避けたい選択だ。

しかし、父はもう限界だ。

入院なくして回復は絶対にない。

通院している病院に全てを話し、医療保護入院も辞さない旨を伝えた。

幸いにして、日にが決まり、準備すべきものを指示された。

ほっとした。
心の底からホッとした。

この時に対応してくれたソーシャルワーカーさんはとても良かった。元気よくハキハキしていて、こちら側の不安な気持ちに寄り添ってくれている感じがヒシヒシと伝わってきた。

俺もワーカー時代、こんな感じで対応できていただろうか。

そんな思いが頭をよぎりながら、この地獄を抜け出せる日が来ることに安堵した。

アルコール依存の人は家族などに見捨てられたり、縁を切られてしまうことも少なくない。

数日だが、そうなる気持ちも痛いほどわかる。

そして、何より家族は孤独だ。

本を買って読んでも、家族がしてはいけないことばかりが書かれている。

「夜中に暴言を吐くのはやめて」「近所迷惑だから大声で叫ばないで」など、普通に生きていたらキレそうになることも、家族はグッと我慢して伝え方を変えるなど様々な工夫が強いられる。

ゲロ吐いたらそれを本人に始末させろと言うが、放置するなんてどう考えても無理だろ。
こっちの気が狂いそうになるわ。

ってな感じだ。

アルコール依存の人への対応は、どう考えても素人には無理だ。

共依存はNGなど言われているが、おそらくほとんどの人が共依存なのではないかとすら思うからだ。

鬼のように苦しい。

父は大事な家族だ。

だからこそ、よくなってほしい。

しかし、モンスターに乗っ取られている状態では何を言っても「暖簾に腕押し」状態だ。

心の余裕など、これっぽちもなくなる。

エゲツない孤独感とこの上ない不安に苦しむ毎日。

父が心配で、毎日夜中の2時に目覚めてしまう。

そろそろ眠い。

続きは明日書く。