悲しい現場に遭遇した

書くのも躊躇われる。

いつもの帰り道、線路沿いを歩いていると急に電車が停まった。

英語を聞きながら帰っていたが、汽笛が耳を突き抜けた。

踏切に着くと凄惨な現場を目の当たりにした。

仕事帰りの19時過ぎ、あたりは薄暗かったのが不幸中の幸いだった。

おばさんだった。

自死という選択をした彼女は、一体どれほど追い込まれていたんだろう。

俺の想像すらも絶するほどの苦しみや悲しみだったのだろう。

それでも、彼女の両腕で自分の身を守るようにしていた。

そんな形・状態だった。

本能的に、自分の身を守ろうとした証だ。

向かってくる電車に対して、身体が反応しただけかもしれないが、

身を守るということは、「生きよう」としたということだ。

死を選んでもなお、その瞬間はとてつもなく怖かったのだろう。

いかほどの苦しみだっただろう。。

俺が考え込んだところで、何にも意味がないことはわかっている。

しかし、振替輸送で別の電車に乗りながら、考え込んでしまった。

俺は、自分の周りの人のプラス要素でいたい。

大層なことはできやしない。

人の命を救うなど、おこがましい。

それでも、俺と関わって、少しだけ気持ちが楽になったり、笑えたり、重荷が軽くなるような存在でいたい。

俺に関わった全ての人、例外なく。

それは、俺の苦手な人や嫌いな人も例外ではない。

俺を侮辱する人、俺の恋人を寝取った男、俺のことを生理的に受け付けないと思う人・・・。

例外なく。

もちろん、上記した奴らの幸せを願うほど、俺はお人好しではない。

散々苦しめばいいとすら思う。笑

けど、

自分から死を選ぶことはしないでほしい。

どんな嫌いなやつでも、生きていてほしい。

あの、暗がりで見たおばさんの表情は忘れられない。

だから、俺に関わる全ての人よ、最期くらい穏やかな表情でいよう。

俺も自分にできることをするよ。